■フッ素とフッ化物

■自然環境物質としてのフッ化物

■人体にとっての有益性

■国内外の専門団体が推奨するフッ化物応用


■長期間、多地域での応用による実績がある







3.人体にとっての有益性

1)フッ化物はヒトの健康に有益な元素
 20世紀の初頭における斑状歯(歯のフッ素症)の発見以来,今日まで数限りない医学歯学研究がなされ「飲料水中のフッ化物濃度が約1ppmの場合う蝕が少ない」という利益が確認され,全身の健康障害となる証拠はいっさい認められていません。そして,WHO(世界保健機関),FAO(世界食糧農業機関)はフッ素をヒトにとっての必須元素と考えています(1974)。また,米国公衆衛生局(USPHS)はフッ素を有益元素と表現しています(1991)。
 すべての栄養素がそうであるように,多すぎても少なすぎても健康にマイナスになります。フッ化物の場合も,過剰に摂取した場合には,歯のフッ素症(Dental Fluorosis)と骨フッ素症(Skeletal Fluorosis)が生じることが,少なすぎた場合う蝕が多くなることが確認されています。う蝕予防のために適正量を用いることが重要なポイントになります。アメリカでは適正摂取量が定められています。

2)身体に取り入れられたフッ化物の吸収,分布,排泄
 飲食物として摂取されたフッ化物は速やかに胃腸管から吸収されます。吸収率は,胃の状態,食物の形状や構成成分によって異なります。空腹時に水に溶けた状態で摂取したときに最も吸収率が高く,ほぼ100%吸収されます。一方,通常の食物の場合はフッ化物の吸収率は低く,特にカルシウム,アルミニウム,マグネシウムを多く含む食物では最も吸収率が低くなります。したがって,食品からフッ化物を効果的に摂取できる量は少なく,飲料水の形でフッ化物を摂取することが健康を得るために大切になります。なお,吸収されなかったフッ化物は糞便として排泄されます。
 吸収されたフッ化物は,血中に入っていきます。摂取後約10分で血中濃度は上昇し始め,30から60分後最高値に達し,11〜15時間後には元のレベルに戻っています。ヒトの血漿中総フッ化物は約0.08ppmです。その半分以上が蛋白質(アルブミン)と結合しており,生体に実質上影響をもつイオン型は約0.02(0.01〜0.04)ppmとされています。
 吸収されたフッ化物は,おもに尿として,また一部は汗として,排泄されます。摂取量と排泄量の差は骨や歯に蓄積します。 しかし,いったん骨格中に沈着したフッ化物は固定されたものではなく,状況(飲料水中フッ化物濃度が低下した場合など)に応じて再び血中に移動してきます
  (参照:小林清吾,フッ化物ではじめるむし歯予防 pp.87-91,医歯薬出版,2002)








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