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2006年1月4日更新 WHOファクトシートNo.296 「電磁過敏症」(日本語訳)を公開しました。 こちらをクリック
このホームページの主な内容
1.はじめに
2.国際電磁界プロジェクト
2−1 組織
2−2 研究調整委員会
2−3 電磁界基準調和委員会
2−4 健康リスク
2−5 入手可能な情報
3.厚生労働省の取り組み
4.関連資料
1.はじめに
電気の利用が我々の生活向上に如何に貢献しているかは、事故や災害による停電時に実感するところです。現代生活には、ありとあらゆる電気製品が氾濫し、私たちは、その恩恵に与っています。電気の利用はこれからも益々増大の一途を辿るに違いありません。
電気は世界中で非常に効果的に広範囲に利用されていますが、100年前に送電を開始して以来、感電死など直接的な原因を除けば、電気の健康影響への認識は極めて低かったと言えます。しかし、ここ数十年間、電気を使用すると発生する磁界の健康影響への可能性について調査研究が進められています。そのきっかけとなったのは、1979年、送電線付近に住む子供の発がんリスクが高いという研究報告です。それ以来、このことを明らかにするため、ヒト、動物、細胞を対象として数多くの研究が実施されていますが、さまざまな周波数による電磁界ばく露による健康影響についての疑問は現在も依然として存在しています。
これを受けて、世界保健機関(WHO)では、1996年より10年計画で「国際電磁界プロジェクト(International EMF
Project)」 を発足させ、電磁界の健康リスク評価作業が現在も進められていますので、これ紹介すると共に、厚生労働省の電磁界問題に対する取り組みも紹介します。(トップに戻る)
2.国際電磁界プロジェクト
健康リスク評価の対象とする電磁界は、送電線などで使用される50あるいは60ヘルツの商用周波を含む極低周波(300 ヘルツまでの)電磁界、静(定常;0ヘルツ)電磁界、および無線周波(RF; 300 ヘルツから300 ギガヘルツ)電磁界と、極めて広範囲に及んでいます。(トップに戻る)
以下に、プロジェクトの組織や主な委員会、作業について説明します。
2−1 組織
国際電磁界プロジェクトの組織は、各国政府代表、共同研究センターおよび国際機関からなる国際諮問委員会(International Advisory Committee: IAC)により運営され、その事務局をWHOのジュネーブ本部に置いています。国際諮問委員会は、プロジェクト執行上の管理・監督やプロジェクトの成果の監修を行う最高意志決定組織と言えます。
@ 共同研究センターとしては、英国放射線防護局(NRPB)、 ドイツ放射線防護局(BS)、米国食品医薬品局(FDA;生命科学部)、米国環境衛生科学研究所(NIEHS)、米国産業衛生研究所(NIOSH)、米国空軍ブルックス基地電波研究所、スウェーデン・カロリンスカ研究所、日本国立環境研究所がプロジェクトに参加し協力しています。
A 国際機関としては、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)、国際がん研究機関(IARC)、
国連環境計画(UNEP)、国際労働機関(ILO)、国際通信連合(ITU)、
欧州委員会(EC)、国際電気技術委員会(IEC)、北大西洋条約機構(NATO)が参加し協力しています。。
B プロジェクト参加国(関心国も含む)としては、2002年6月で54ヶ国に上っています。アルメニア、オーストラリア、オーストリア、バーレーン、バングラディシュ、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、中国、コスタリカ、クロアチア、キューバ、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エジプト、フィンランド、フランス、ドイツ、香港、ハンガリー、インドネシア、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、ケニア、韓国、クウェート、ルクセンベルグ、マレーシア、マルタ、ナミビア、ノルウェー、ニュージーランド、フィリピン、ポーランド、ロシア連邦、シンガポール、スロベニア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、タイ、オランダ、トルコ、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカ合衆国などが挙げられます。(トップに戻る)
2−2 研究調整委員会
電磁界の健康影響に関する研究は、年々その数を飛躍的に増しています。そこで、WHOでは、研究調整委員会を設けてその結果を把握し、健康リスク評価を行う上で不足している情報を明らかにし、今後の研究課題を選定しています。1997年から毎年開催されていますが、主要な優先的な研究課題が設定され、これの見直しが毎年行われています。2003年6月には、高周波電磁界の健康リスク評価に必要な研究へ焦点を絞った優先的研究課題を設定しました(優先的研究課題に関する詳しい資料を参照)(トップに戻る)
2−3 電磁界基準調和委員会
現在世界各国(54ヶ国、8国際機関)がプロジェクトに参加していることから、世界的規模で電磁界基準の調和が求められています。その一部は、1998年5月にロシアのモスクワで開催された国際セミナー(前述)でも検討されました。1998年11月に、クロアチアのザグレブで第1回の世界的電磁界基準調和の円卓会議が、EC,
WHO, ICNIRPにより共催されました。第2回の世界的電磁界基準会議は、1999年11月イタリアのエリスで低レベルパルス変調無線周波電磁界に関する国際セミナー(前述)が終了後、同じ場所で引き続いて開催されました。1999年4月には中国の北京で同様な会議が開催され、中国の電磁界基準について討議され、2000年10月にも西安で同様の会議が開催されました。2000年11月には、米国サンアントニオで研究調整委員会の後に開催されました。その後は世界各地で地域別に開催中です。2001年3月には南米地域を対象にペルーのリマで、4月には東欧を対象にブルガリアのヴァルナで実施されました。10月末にはアジア地域を対象に韓国のソウル、12月にアフリカ地域を対象に南アフリカで開催しました。2002年の9月にロシアのモスクワで実施され、2003年10月には中国の桂林で開催されました。(トップに戻る)
2−4 健康リスク評価
健康リスク評価としては、1999年4月、フランスのリヨンで国際がん研究機関(IARC)による電磁界の発がんリスク評価に関する臨時諮問委員会が開催されました。IARCでは、2001年に静電磁界および超低周波電磁界に対する発がん評価を実施し、2005年には無線周波電磁界に対する発がん評価を実施する予定です。また、WHOは2003〜4年に静磁界および超低周波電磁界、2006〜7年に無線周波電磁界に対する発がん以外の健康リスクを評価し、それぞれ環境保健基準(Environmental
Health Criteria)を発刊予定です。この健康リスク評価がWHO国際電磁界プロジェクトで最も注目すべき作業であり、この結果は日本を含む世界各国に必ず影響を与えるものと考えられます。
IARCが実施した超低周波電磁界や静的電磁界に対する発がん性評価結果では、超低周波磁界には発がんの可能性がある(2B)という判断を2001年6月末に下しました(IARCの発がん性評価に関する詳しい資料を参照)。同年10月WHOは、IARCによる超低周波電磁界の発がん性評価を受けて、新たに「超低周波電磁界とがん」に関するFact Sheets(資料No.263)を発行しました。
なお、今回のIARCの評価は最終的なリスク評価ではありません。2003年に静磁界および超低周波電磁界に関する環境保健基準(EHC)を作成する際には、現在進行中の超低周波電磁界暴露とがんとの関連性を追究する大規模な疫学研究結果も踏まえて、WHO国際電磁界プロジェクトとして再評価される予定です。
WHOは現在、超低周波電磁界に対する健康リスク評価を行うための作業部会を複数設置し、その作業が進行中です。それぞれの作業部会は、いずれ発刊される環境保健基準の一部となる作業部会報告書を作成するようにWHOから要請されています。2004年には各作業部会などから提案された環境保健基準原案をたたき台にして、タスクグループ会議が開催されます。ここで原案は再度評価され、合意形成を経て、WHO内の所定手続きを終えて2006年に発刊される予定です。
以下に環境保健基準の目次をお示しします。
| 1 概要 2 導入 3 曝露の発生源と計測 4 環境レベルと人への曝露 5 体内のドシメトリーと生物物理学的機構 6 生物学実験での影響 7 人への影響 @がん A生殖系 B心臓血管系 C神経変性 D行動障害 E電磁界過敏症 8 超低周波の健康リスク評価についての方法論的事項 9 量−反応評価 10 人の健康リスク評価とリスクの推定 11 防護手法と政策オプション(予防的アプローチを含む) 12 結論と推奨 13 更なる研究 |
2−5 入手可能な情報
WHOではホーム・ページ(http://www.who.int/peh-emf/)を設けています。なお、この中にWHOの現在の電磁界に対する取り組みや考え方を示すFact
Sheets(資料)、情報シートが、掲載されています。これを日本語にも翻訳しましたので、その項目を以下に示します。
関心がある項目をお選び下さい。
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@ 国際電磁界プロジェクト(No. 181)
A 電磁界と公衆衛生(No. 182)
B 無線周波数電磁界の健康影響(No. 183)
C 電磁界リスクへの一般市民の認知(No. 184)
D 携帯電話とその無線基地(No. 193改訂版)
E VDU(ビデオ・ディスプレイ・ユニット)と人の健康(No.
201)
F 超低周波電磁界(No. 205)
G レーダー(No. 226)
H 予防政策(Backgrounder)
I 超低周波電磁界とがん(No. 263)
J RF電磁界における優先的研究課題 (2003年)
K 電磁界のリスクに関する対話の確立(WHOハンドブック)
L 情報シート 電磁界と公衆衛生 「電子レンジ」
M 情報シート 電磁界と公衆衛生 「中間周波(IF)」
N 情報シート 電磁界と公衆衛生 「電磁界の自然環境に及ぼす影響」
O
電磁過敏症(No.296)
3.厚生労働省の取り組み
WHOによる国際電磁界プロジェクトが発足以前から、各省庁は独自に電磁界の健康影響について取り組んできましたが、プロジェクト発足が引き金となって、国際電磁界プロジェクトに対応する日本国内パネルを果たす目的で、電磁界研究者ネットワークを設けました。これまでに3回電磁界研究者ネットワークによる研究発表会(電磁界の健康影響に関するワークショップ)が実施されています。
厚生労働省健康局生活衛生課では、厚生科学研究費補助金によって、居住環境中の商用周波電磁界暴露への安全性評価を行っています。実施機関は国立公衆衛生院生理衛生学部(当時):現、国立保健医療科学院生活環境部でマウス由来の乳がんを移植した動物モデルを用いて平成9年度〜平成11年度の3年間評価した結果、商用周波電磁界には乳がん増殖を促進する作用は認められていません。平成12年度からは、血液中の白血球や免疫反応との関連から安全性評価を実施中ですが居住環境レベルの商用周波磁界暴露ではこれらに影響を与えることがないことがわかっています。さらに、携帯電話等で使用される高周波電磁界暴露の安全性評価も動物の脳循環動態を指標にしてその影響評価を国立保健医療科学院(生活環境部)で実施中ですが、電波防護指針を上回る電波暴露でも血液脳関門などに影響を与える結果は発見されていません。
一方、労働環境(安全衛生部労働衛生課)については、産業医学総合研究所を中心に、主として超低周波電磁界の作業環境における曝露強度の調査や生体影響に関する実験的研究を実施しています。実験研究では、培養細胞を用いて染色体や細胞質遊離カルシウム濃度への磁界曝露の影響について検討しましたが、その影響は認められていません。また、ヒトのリンパ球などの血液細胞に培養液中で磁界を曝露したところ、免疫に関連のある2、3のサイトカインに最大約20%の産生量変化が観察されました。現在は、動物に磁界を曝露し免疫系に及ぼす影響などを調べています。(トップに戻る)
4.関連資料
WHO冊子 電磁界のリスクに関する対話の確立 ("Establishing
a dialogue on risks from electromagnetic
fields"の和訳)
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