No.18012 沖縄県麻しん集団感染事例から持ち込まれた麻しんの集団感染(名古屋市)

[ 詳細報告 ]

分野名:ウィルス性感染症
衛研名:名古屋市衛生研究所
報告者:微生物部 柴田伸一郎
事例終息:事例終息
事例発生日:2018/04/12
事例終息日:2018/07/09
発生地域:名古屋市を中心とした愛知県尾張地区
発生規模:麻しん患者25名
患者被害報告数:25名
死亡者数:0名
原因物質:麻しんウイルス D8型
キーワード:集団感染、麻疹、麻しん、はしか、名古屋、愛知、沖縄、D8、麻疹ウイルス、麻しんウイルス、アウトブレイク、輸入感染症、ワクチン接種

概要:
3月28日から4月2日にかけて沖縄旅行をした学生が、4月6日より麻しん様症状を呈し、名古屋市内医療機関、東郷町医療機関、再度市内の同じ医療機関を受診し麻しんと診断された。その間に名古屋市内医療機関及び東郷町医療機関において二次感染者10名、中学校、親戚、家族等三次感染者8名、家族内における四次感染者2名、感染経路不明者3名、タイからの帰国者1名(D8型であったが、沖縄由来株とは8塩基ほど異なっていた)の感染であった。

背景:
日本は2015年3月に麻しんの排除認定を受けたものの、旅行者による輸入感染事例は毎年報告されている。中でも2018年3月からの台湾人旅行者を発端とした沖縄県での流行は排除認定以降最大であり、沖縄で感染した患者を初発として名古屋市内でも感染が拡大し、市外の患者と合わせて最終的に25名の感染者が発生した。

地研の対応:
名古屋市保健所より依頼のあった98名275検体について検査を行い、22名の57検体について陽性と判断した。

行政の対応:

原因究明:
初発患者は診断がつくまでに複数の医療機関を受診しており、複数の感受性者と接触したことが感染拡大の原因である。現在ではワクチンの二回接種が導入されているものの、10歳代の世代に抗体価の低い年代が多くあり、20歳代以上のワクチン一回世代とともに感染拡大の要因となった。

診断:
当所では22例の陽性患者について国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに従い検査を行った。残りの3例は愛知県衛生研究所において検査を行った。当所の検査は咽頭拭い液、尿、末梢血単核球、血清からRNAを抽出し、リアルタイムRT-PCR法によるN遺伝子の検出を以て陽性とした。判定保留例はコンベンショナルPCR法とダイレクトシークエンス法によりNならびにH遺伝子の検出を行い、シークエンスの確認を以て陽性とした。検査した22例中21例については、N遺伝子のシークエンスを解析することができ、20例の塩基配列が一致し、遺伝子型はD8であることを確認した。残る1例の遺伝子型もD8であったが、沖縄由来株とは8塩基ほど異なっていることを確認した。

地研間の連携:
愛知県衛生研究所と発生状況等の情報交換を行った。

国及び国研等との連携:
特になし

事例の教訓・反省:
一部医療機関において、特に医療事務職員のワクチン接種の徹底が行われていなかった。医師、看護師だけでなく、事務職員の感染リスクの高さが明らかにされた事例であり、今後も周知していく必要がある。

現在の状況:
検査マニュアルが作成されており、平常時でも麻しんを疑う症例が発生した場合に、すぐ検査を実施できる環境を整えている。

今後の課題:
麻しんアウトブレイクの発生状況、遺伝子検査の結果について、論文化して報告することを予定している。

問題点:

関連資料