【管内情報】 【保健所健康危機管理事例H19】多剤耐性結核持続排菌中にもかかわらず自己退院を繰り返すホームレス患者(大阪府)

〔作成者〕大阪市保健所
〔発生年月日〕1990/5/7
〔概要〕鹿児島出身。あいりん地域等にて約35年日雇い労働者として生活してきた。住所不定(あいりん地域等で野宿)。(昭和52年3月H医療機関にて初めて結核診断 約1か月で自己退院、登録記録もなく詳細不明)平成2年5月結核再発診断(登録時状況は上記のとおり)以降、16回大阪、九州、広島等で入退院繰り返す。平成12年12月薬剤感受性検査CS,TH、EVM以外の全てに耐性ありと判明(平成19年7月以降はCS、EVMも耐性化)以降も16回入退院繰り返しながら病状悪化現在に至る。アルコール依存症合併、認知力も低下している。平成12年7月ガフキー4号、C(++++)、以後は喀痰塗抹陽性、持続排菌しながら経過している。理解力に欠け結核について病識なし。自己退院の理由は飲酒や賭博等娯楽への欲求、院内規律や人間関係への強い不満等である。
〔原因/端緒〕
・結核治療とあわせてアルコール依存症の専門治療を受けられる医療機関(結核病床)がない
・入院勧告に法的強制力がないため、自己退院を阻止できない
・規範に縛られず自由な生活をしていた住所不定者にとっては入院生活への適応が困難
・あいりん地域の結核高蔓延状態  
〔症状/被害状況〕
自己退院を繰り返すたびに、医療機関、福祉担当者、NPO等と協議、連携しながら対応にあたり、所在確認、服薬支援、受診勧奨等を行ってきたが、本人の病識不足、院内での問題行動等により 入院受け入れ病院が非常に限られている状況になってきている。多剤耐性結核の病状も悪化し、予後不良。また、自己退院後は、ほとんど単独の野宿生活であるが、本人の行動によっては二次感染の危険も懸念される。

公開日:2008年07月16日

カテゴリー: 結核