【管内情報】 食中毒の疫学研修事例テキストの紹介

【作成者】岡山市保健所
【内容】平成12年に発生した後述の食中毒事件をベースに食中毒の疫学研修事例テキストを作成したので紹介する。このテキストでは、食中毒の探知情報を入手してからの初期情報の収集から健康被害の拡大防止・疾病の予防指導までの事件処理を、実例を用いての実践的な実地疫学をQ&A形式で学ぶようになっている。
 食中毒事件の概要
 平成12年8月6日(日)・午前0時頃、岡山市消防局から食中毒様症状を呈している者数名を医療機関に搬送した旨の連絡が同市保健所にあったことから調査を開始した。
患者等は、8月5日(土)・夕方から某社行事で観光船に乗り花火を見て、船内で仕出し弁当を食していたことから、行事に参加した社員とその家族 計265名の健康調査と弁当の喫食調査、便・保存されていた弁当・調理施設から得られた検体についての微生物検査を行った。
 調査の結果、265名中97名が8月5日から6日に嘔吐、下痢等の症状を呈し、有症者に共通する食事は、船内で配られた仕出し弁当であったことから、当該弁当を調製した飲食店に対し5日間の営業停止処分とした。
 微生物検査(有症者便・食品・ふき取り等)の結果、有症者10名の便・弁当の食品17品目・調理人1名の左手から黄色ブドウ球菌が検出された。

掲載先:
 ①食品衛生研究:(社)日本食品衛生協会
  Vol.59(2009):No.4:29-37
  Vol.59(2009):No.5:41-48
 ②Epi Info? 3.5.1日本語版のチュートリアル(観光船食中毒)
  ※ Epi Info?及びEpi Info? 3.5.1日本語版については、国立感染症研究所感染症情報センター各種情報(http://idsc.nih.go.jp/various.html)を参照のこと。

公開日:2009年05月13日

カテゴリー: 食品安全