【政府情報】 妊婦もしくは褥婦に対しての新型インフルエンザ感染(A/H1N1)に対する対応Q&A (医療関係者向け)(平成21年5月19日)2009/05/19

妊婦もしくは褥婦に対しての新型インフルエンザ感染(A/H1N1)に対する対応
Q&A (医療関係者向け)

Q1: 妊婦は非妊婦に比して、新型インフルエンザに罹患した場合、重症化しやすいのでしょうか?

A1:季節性インフルエンザに関しては、心肺機能悪化のために入院を必要とする率が高くなることが報告されています。肺炎などの二次感染を合併し重症化すると胎児機能不全を引きおこすことがあります。新型インフルエンザに関してはまだデータが不十分ですが、季節性インフルエンザと同様であると推定されています。

Q2:妊婦が38℃以上の発熱と急性呼吸器症状を訴えた場合、どのように対応すればよいでしょうか?

A2:発熱外来を開設している病院(地域の保健所に連絡することによりわかります)への受診を勧めます。

Q3: 妊婦に新型インフルエンザ感染が確認された場合の対応(治療)はどうしたらいいでしょうか?

A3: 米国では抗インフルエンザウィルス薬(タミフル、リレンザ)の投与が勧められています。本邦においても患者に説明同意のうえ、それらの投与が勧められます。

Q4: 妊婦が新型インフルエンザ患者と濃厚接触した場合の対応はどうしたらいいでしょうか?

A4: 米国では抗インフルエンザウィルス薬(タミフル、リレンザ)の予防投与が勧められています。本邦においても患者に説明同意のうえ、それらの予防投与が勧められます。

Q5: 抗インフルエンザウィルス薬(タミフル、リレンザ)は胎児に大きな異常を引き起こすことはないのでしょうか?

A5: 2007年の米国疾病予防局ガイドラインには「抗インフルエンザウィルス薬を投与された妊婦および出生した児に有害事象の報告はない」との記載があります。

Q6: 抗インフルエンザウィルス薬(タミフル、リレンザ)の予防投与(インフルエンザ発症前)と治療投与(インフルエンザ発症後)で投与量や投与期間に違いがあるのでしょうか?

A6: 米国疾病予防局の推奨(http://www.cdc.gov/h1n1flu/recommendations.htm)では以下のようになっていますので、本邦妊婦の場合にも同様な投与方法が推奨されます。

1.タミフルの場合
予防投与:75mg錠 1日1錠(計75mg)、 治療のための投与:75mg錠 1回1錠、1日2回(計150mg)

なお、本邦の2008年Drugs in Japanによれば、治療には上記量を5日間投与、予防には上記量を7日~10日間投与となっています。

2.リレンザの場合
予防投与:10mgを1日1回吸入(計10mg)、治療のための投与:10mgを1日2回吸入(計20mg)

なお、本邦の2008年Drugs in Japanによれば、治療には上記量を5日間吸入、予防には上記量を10日間吸入となっています。

Q7: 予防投与の場合、予防効果はどの程度持続するのでしょうか?

A7; タミフル、リレンザともに2008年Drugs in Japanによれば、これらを連続して服用している期間のみ予防効果ありとされています。

Q8: 予防投与した場合、健康保険は適応されるのでしょうか?

A8: 予防投与は原則として自己負担となりますが、自治体の判断で自己負担分が公費負担となる場合があります。

Q9: 抗インフルエンザウィルス剤を服用しながら授乳することは可能でしょうか?

A9: 母乳自体による新型インフルエンザ感染の可能性は現在のところ知られていません。季節性インフルエンザでは母乳感染は極めてまれです。授乳時に抗インフルエンザウィルス薬を投与する場合には、薬剤の児への潜在的リスクと母乳栄養による利益を考慮した上で患者と相談の上、決定して下さい。なお、米国疾病予防局の推奨では抗インフルエンザウィルス剤を服用しながら児に授乳することは可能であるとされています。同時に児への感染リスクを最小限にするため、頻繁に手洗いしたりマスクをつけるなどの処置を必要とします。母児分離を行なうべきとの勧告は今のところなされていません。

社団法人 日本産科婦人科学会

詳細については、下記のページをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02-02.html

(参照先)
厚生労働省健康局結核感染症課