【政府情報】 【緊急】病院での感染事例報告(A病院職員新型インフルエンザ発生事例報告)(平成21年5月29日)2009/05/29

病院での感染事例報告

A病院職員新型インフルエンザ発生事例報告

平成21年5月28日
国立感染症研究所感染症情報センター
新型インフルエンザ大阪派遣チーム

1.背景
2009年5月15日に神戸市から、翌16日には大阪府から新型インフルエンザの発生報告があり、その後この両府県を中心に日本国内での報告数は累積で321例となった。大阪では、新型インフルエンザの患者発生は大阪市以北の北摂地域が中心であり、同地域での新型インフルエンザ対策を含めた医療体制は非常に厳しい状況を迎えていた。

A病院は同地区の地域医療の中核を担っており、平時からの入院、一般外来、二次救急、小児科救急に加えて、新型インフルエンザ対策においても、発熱外来を開設し、文字通り地域医療の中心的役割を担っている。

5月20日、同病院に勤務する看護師が日勤の勤務終了後に38℃以上の発熱をきたし、翌21日に発熱外来を受診し、同日の夜に新型インフルエンザであると確定診断された。我々は5月22日の午前に断片的ながらこの情報を入手し、大阪府健康医療部と協議の上、実態の把握と感染拡大防止に向けた提言を行うために、直ちに現地に調査員を派遣し、大阪府B保健所と合同で積極的疫学調査を行ったので、その結果を以下に報告する。

2.当該発病者の発病までの概要と病棟について
当該発病者(以降B氏とする)はC病棟に看護師として勤務している。同病棟は内科系・外科系の混合病棟であり、入院患者の多くは糖尿病や呼吸器疾患等の慢性疾患を持った高齢者であり、通常の季節性インフルエンザの罹患に関してはいわゆるハイリスク者に分類される。

B氏は5月16~18日は勤務がなく、自宅のある大阪北部やその周辺地域、兵庫県尼崎市内のショッピングモール、京都市内等に外出していた。5月19日、20日の両日は日勤の病棟勤務であったが、20日の日勤の勤務が終了して帰宅した後の19時に38℃以上の発熱をきたし、21日午前に発熱外来を受診し、同日夜に新型インフルエンザと確定診断された。

3.調査方針と調査対象
新型インフルエンザの感染経路であるが、通常の季節性インフルエンザに準じているというこれまでの我が国や米国CDC、WHO等からのガイドラインに矛盾する所見はこれまでの我々の疫学調査からは得られていないことから、今回の調査においてもその季節性インフルエンザに準じて感染経路を考慮することとした。しかしながらまだ新型インフルエンザに関してははっきりとした感染経路に関するエビデンスが存在していないことと、入院患者の多くがハイリスク者であるとことから、接触者のリストアップは広めに行うことを基本方針とした。

B氏が勤務していた5月19日および20日に、同氏が接触した可能性のある病院の患者および職員を対象とした。B氏の発症は5月20日19時頃であったため、厳密には5月19日の19時より前(発病24時間より前)に接触した可能性のある者は接触者の定義には当てはまらない可能性が高い(積極的疫学調査の実施要綱)が、今回は接触者としてのリストアップは広めに行うという方針のもとに、19日の接触者もリストアップすることとした。

なお、病棟への面会者については、病院によって18日以降はサージカルマスク着が必須とされていたことや、B氏との接触があったとしてもごく短時間にとどまることを考慮し、今回の調査対象からは除外した。

4.調査方法

5.結果

6・終わりに

詳細については、下記のページをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/2009/05/0529-01.html

(参照先)
厚生労働省
健康局結核感染症課