【政府情報】 子どもの心の診療拠点病院の整備に関する有識者会議 報告書(平成22年7月30日)2010/09/03

平成22年7月30日
子どもの心の診療拠点病院機構推進事業に対する意見の中間的な整理

(1) 平成20年度から平成22年度までの予定で開始された「子どもの心の診療拠点病院機構推進事業」(以下、「推進事業」という。)について、助言、評価等を実施するために設置された、「子どもの心の診療拠点病院の整備に関する有識者会議」では、子どもの心の診療体制整備の状況について、推進事業を実施している11の都府県からの聴き取りや都道府県等に対するアンケート調査(平成21年11月~平成22年1月)を実施し、厚生労働科学研究奥山班(「子どもの心の診療に関する診療体制確保、専門的人材育成に関する研究、平成20年度~)の協力を得て、推進事業の評価について検討した。

(2) 推進事業を実施している自治体からの聴き取り調査では、それぞれの自治体において拠点医療機関を中心として、地域の医療機関の診療支援や福祉・教育機関への専門医師の派遣等の連携の実施、開業小児科医や開業精神科医、医療従事者等に対する研修や講習会の実施、一般住民が参加できる講演会の開催や子どもの心の診療に関するパンフレット等の作成による普及啓発を進めていることが紹介された。

(3) アンケート調査の結果からは、推進事業を実施している自治体では、実施していない自治体と比べて、子どもの心の問題についての診療支援体制整備や保健・福祉関係機関との連携会議の開催等の支援体制の整備、ポスター等を使用した普及啓発が進んでいることが判明した。

(4) 奥山班が実施した患者の保護者に対する調査では、推進事業の実施前後及び実施有無で比べたところ、症状に気づいたときにどこに相談していいか困った患者の割合は、推進事業を実施している自治体において、実施前と比べて実施後で減少していることが判明した。また、拠点病院を受診するまでの期間については顕著な変化が見られなかったが、詳細な要因等を含めた調査の実施を検討する必要がある。

(5) 有識者会議に提示されたこれまでの結果から、推進事業は、地域の診療連携や地域の診療関係者の研修等による地域の子どもの心の診療体制整備に寄与するとともに、患者の相談すべき医療機関等について適切な情報提供が行われていることが推測される等、地域の子どもの心の診療体制の構築のために重要な役割を果たしていると考えられる。

(6) 子ども虐待等の子どもの心に影響する多様な問題事象が引き続き増加し、子どもの心の問題への医学的対応の更なる充実が求められており、地域の子どもの心の診療体制を早急に全国的に構築する必要があることから、全ての都道府県で効果的に推進事業を実施できるような仕組みの導入を検討すべきであり、自治体は、この仕組みを活用して積極的に、子どもの心の診療体制の構築、維持に努めるべきである。併せて、1歳6か月児、3歳児の健康診査等の機会を有効に活用し、できるだけ早い時期に、子どもの心の問題に気付き、対応できるように努めるべきである。

(7) なお、推進事業を全国的に実施する際には、関係学会・団体等による専門医師育成の取組と連携して推進していくことが必要である。

詳細については、下記のページをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/07/s0730-3.html

(参照先)
厚生労働省雇用均等・児童家庭局