No.1537 ツキヨタケによる食中毒

[ 詳細報告 ]
分野名:自然毒等による食中毒
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:和歌山県環境衛生研究センター
発生地域:和歌山県岩出市
事例発生日:2012年10月5日
事例終息日:
発生規模:喫食者2グループ6名
患者被害報告数:5名
死亡者数:0名
原因物質:ツキヨタケの有毒成分イルジン-S
キーワード:ツキヨタケ イルジン-S LCMSMS

背景:
自然に触れ親しみ,山菜やキノコなど自然のものを食することで心身共に健康になると考える人が多くなり,誤食による食中毒事例が増加している。

概要:
奈良県大塔村山中でキノコ採取した者が,岩出市内の2グループに配り,調理して喫食したところ,食後30~90分後に嘔吐・吐き気等中毒症状が現れた。キノコ料理の残品と生キノコの欠片の鑑定より,ツキヨタケの誤食と推定したので,「イルジン-S」の分析を行い確定した。その結果を行政指導資料に供した。

原因究明:

診断:
イルジン-Sをキノコ料理の残品から140~240μg/g,生キノコの欠片から120~230μg/g検出した。

地研の対応:
キノコ料理の残品と生キノコの欠片を分析した。
(迅速分析法)
試料1gにメタノール30mLを加えて,15分間超音波抽出し,No.5Aろ紙でろ過後,上清を50mLに定容し抽出原液とした。抽出原液をさらにメタノールで適宜希釈し,PTFEフィルターでろ過後LCMSMSで分析した。
(イルジン-Sの分析条件)LC装置:Waters LC2795
カラム:Scherzo SM-C182.0mm I. d. x150mm, 3μm インタクト(株)製
移動相:(A)10mMギ酸アンモニウム,(B)メタノールA:B=85:15(2分)→(30分)→90:10(5分)
流量:0.2mL/minカラム温度:40℃注入量:5μL
MSMS装置:MICROMASSQuattroUltimaPtイオン化モード:ESI(+)
コーン電圧:45Vコリジョンエネルギー:12eVモニターイオン:247.0→201.0

行政の対応:
採取者および喫食者に対し,安全性の確認できないキノコを喫食しないことを含め,自然毒による中毒防止についての注意事項を指導した。

地研間の連携:
山形県衛生研究所笠原義正氏より,ツキヨタケから分離精製した「イルジン-S」の標準品を分与して頂いた。

国及び国研等との連携:

事例の教訓・反省:

現在の状況:
有毒植物および毒きのこ19成分について健康危機管理に対応した自然毒一斉分析法を構築している。

今後の課題:
その他の有毒植物および毒きのこ成分について追加していく。

問題点:
市販の標準品がないものがある。

関連資料:
久野恵子他:健康危機管理に対応した自然毒一斉分析法の検討-有毒植物および毒きのこ19成分-全国衛生化学協議会年会講演要旨集,48,118-119(2011)
[資料参照]