No.1626 冷凍食品農薬マラチオン混入事件

[ 詳細報告 ]
分野名:化学物質による食品汚染
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/03/22
衛研名:静岡県環境衛生科学研究所
発生地域:静岡県全域
事例発生日:2014年1月6日
事例終息日:2014年1月20日
発生規模:国内全域
患者被害報告数:静岡県内184名(141件)
死亡者数:0名
原因物質:マラチオン(農薬)
キーワード:冷凍食品、マラチオン、意図的混入、LC/MS/MS

背景:

概要:
2013年11月、群馬県(株)アクリフーズ群馬工場で製造された複数の冷凍食品を喫食した各県の消費者からの異臭等の苦情があり、検査の結果、一部の商品からマラチオンが検出された。
静岡県では2014年1月6日、嘔吐、下痢などの体調不良を訴え保健所に届出された事例のうち、残品があるものについて、マラチオンの検査を開始した。

原因究明:
1 検査方法
前処理法:厚生労働省からの通知「加工食品中に高濃度に含まれる農薬等の迅速分析法-1」に準じて前処理を行った。
LC/MS/MS条件
カラム Myghtysil RP-18  カラム温度 40℃  流速 0.2mL/min
移動相 A液:アセトニトリル B液:10mmol酢酸アンモニウム溶液(pH4.5)
グラジェント条件 A:B(min) 1:99(0)→1:99(5)→100:0(35)→100:0(40)→1:99(70)→1:99(80)
イオン化モード ESI positive  測定モード MRM
測定イオン 331→127(定量イオン) 331→99(確認イオン)
ソース温度 120℃  脱溶媒温度 375℃  コーンガス流量 50L/hr
2 検査結果
全35検体からマラチオンは検出されなかった。

診断:

地研の対応:
厚生労働省からの通知「加工食品中に高濃度に含まれる農薬等の迅速分析法-1」に準じて、2014年1月20日までに9品目35検体の検査を実施した。

行政の対応:
県内の各保健所に健康被害の届出された事例のうち、残品があるものについてマラチオンの検査を実施した。

地研間の連携:
特になし

国及び国研等との連携:
特になし

事例の教訓・反省:
特になし

現在の状況:
マラチオンについては冷凍食品5品目において性能評価を実施済である。

今後の課題:
同様な事例発生時に迅速に対応できるように、様々な加工食品中の農薬分析法を事前に確立しておくこと。

問題点:
特になし

関連資料:
小林千恵他:静岡県環境衛生科学研究所報告、56、63-65(2013)
大坪昌広他:第51回全国衛生化学技術協議会年会講演集、44-45(2014)