No.16003 イベント会場におけるカンピロバクター食中毒

[ 詳細報告 ]
分野名:細菌性食中毒
登録日:2017/04/04
最終更新日:2017/04/04
衛研名:福岡市保健環境研究所
発生地域:福岡市
事例発生日:2016年4月
事例終息日:
発生規模:イベント会場で鶏肉の寿司を喫食した266名が発症
患者被害報告数:266名
死亡者数:0名
原因物質:カンピロバクター・コリ、カンピロバクター・ジェジュニ
キーワード:カンピロバクター・コリ、カンピロバクター・ジェジュニ、イベント食中毒、鶏肉の寿司

背景:
福岡市における細菌性食中毒のうち、カンピロバクターを原因とする食中毒はその大半を占めているが、これまでは患者数が数名程度の小規模な事例が多かった。2016年4月から5月に開催されたイベント会場で、患者数200名を超えるカンピロバクター食中毒が発生したので報告する。

概要:
2016年4月29日から5月8日の期間に、福岡市中央区のイベント会場で鶏肉の寿司を喫食した175名中108名が下痢、腹痛、発熱等の食中毒様症状を呈した。なお、原因施設を公表後、新たに申立てがあり、調査の結果、患者数は計266名となった。

原因究明:
患者の共通食は当該施設で提供された食品のみであり、患者便49検体のうち18検体からカンピロバクター・コリ(以下C.coli )、5検体からカンピロバクター・ジェジュニ(以下C.jejuni )、1検体からC.coli 及びC.jejuni を検出し、調理従事者便7検体のうち2検体からC.coli 、1検体からC.jejuni を検出した。また、保存食(鶏肉の寿司)9検体のうち2検体からC.jejuniを検出した。以上のことから、当該イベントにおいて提供された鶏肉の寿司を原因とするC.coli 及びC.jejuniによる食中毒と断定した。

診断:
培養法によりC.coli 及びC.jejuni を分離し,生化学性状試験とリアルタイムPCRを行った。

地研の対応:
患者便49検体、調理従事者便7検体、保存食(鶏肉の寿司)9検体について、食中毒原因菌の検査を行った。分離された菌については、生化学性状試験、リアルタイムPCRにより菌種を同定した。

行政の対応:
保健所は、食中毒事件を探知した5月9日から調査を開始した。患者の共通食は当該食品のみであること、患者便、調理従事者便及び保存食からC.coli 及びC.jejuniが検出されたことから、当該施設が調理した鶏肉の寿司を原因とするC.coli 及びC.jejuniによる食中毒と断定した。当該イベントは5月8日で終了し、営業施設が撤去されていたことから、当該施設に対する営業停止の処分は行わず、営業者に対して勧告書を交付し厳重注意の指導を行った。

地研間の連携:
なし

国及び国研等との連携:
なし

事例の教訓・反省:
生および加熱不十分な鶏肉の危険性と調理従事者の健康管理の重要性について、イベント開催者への指導強化を含め、事業者に対して引き続き指導する必要があると考えられた。

現在の状況:
野外イベントにおける飲食店等の営業許可申請時に窓口での書類審査を強化したほか、営業開始前における現地立入調査だけでなく、開催期間が数日間程度と長期になる場合は適宜イベント開催中に立入調査を実施し、施設の衛生状況を確認する体制を取っている。

今後の課題:
本事例では福岡市内の患者が半数以上であったため、迅速に対応することができたが、より広域な大規模食中毒が発生することを想定し、他の自治体との協力体制を充実させておく必要があると考えられる。

問題点:
なし

関連資料:
なし