No.16013 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)による死亡例

[ 詳細報告 ]
分野名:ウイルス性感染症
登録日:2017/04/04
最終更新日:2017/04/04
衛研名:宮崎県衛生環境研究所
発生地域:宮崎県央部
事例発生日:2015年10月中旬
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:1名
死亡者数:1名
原因物質:重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)
キーワード:重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)、発熱(38℃以下)・消化器症状(嘔気・嘔吐)・肝機能低下・意識障害、全身倦怠感・血小板数減少・白血球数減少

背景:
宮崎県はSFTS発生数が全国第1位である。

概要:
10月中旬に発熱(37℃台)、嘔吐、食欲不振、肩・腰に痛みを訴え、病院受診。
右側腹部に吸血中のマダニ確認、白血球減少及び血小板減少を認めたため県立宮崎病院紹介入院。
入院時状況:体温37℃台、消化器症状(嘔気・嘔吐)を呈し、血小板減少(6万6千)、白血球数減少(1560)血清酵素上昇(AST642、ALT270、808)血清フェリチン上昇(5754)
平成27年10月下旬死亡

原因究明:
聞き取り調査を患者本人及び家族から実施。患者は、たまに林業の手伝いをする程度であるが発症1週間前の散歩中、道路上で鹿の死骸を見つけ、素手にて道路脇へと移動させたとのことであった。

診断:
定性:RT-PCR

地研の対応:
管轄保健所から検査依頼を受け、翌日患者血清を用いてRT-PCRを実施。予想される大きさのバンド増幅が認められたため、国立感染症研究所での確認検査を依頼。その後SFTS陽性である旨回答を受けた。

行政の対応:
地衛研での検査結果を受け、SFTSの可能性が非常に高い旨医師、患者家族に
伝える。また、国立感染症研究所での確認検査結果後、SFTS発生を公表し、
マダニに対する注意喚起を行った。

地研間の連携:
特になし

国及び国研等との連携:
当所で陽性となった後、国立感染症研究所にて確認検査の実施。

事例の教訓・反省:
SFTSがマダニ媒介性感染症であり野生動物との間に感染環を形成しているため野生動物にも注意が必要であるが、周知、啓発が行き届いていなかった。

現在の状況:
2016年4月1日から地衛研にてSFTS陽性であった
場合国立感染症研究所での結果を待たずにSFTS発生の発表を行う事となった。

今後の課題:
SFTSを始めマダニ媒介性感染症予防及びSFTS疑い例時の速やかな受診。そのための啓発活動

問題点:
SFTSにおける推定感染地、年齢、性別などの公表とプライバシー問題

関連資料: