平成10年2月15日
第45巻 日本公衛志  第2号
潜伏期間に対す正規分布を仮定した
集団食中毒の曝露時点の最尤推定法

丹後 俊郎   
 本論文では、腸管出血性(病原性)大腸菌O-157:H7に代表される集団食中毒の暴露時点の推定方法を新しく提案する。感染食品に一斉曝露を仮定し、潜伏期間に対数正規分布を仮定するもので、曝露時点の最尤推定量の簡単な計算方法を提案するとともに、その信頼区間の計算法も提案する。また、従来から文献によく登場している3つの方法(Sartwellの方法、平山の方法、堀内らの方法)は、理論上、または、計算上、妥当性を欠くものであることを示す。本方法の適用例として腸管出血性(病原性)大腸菌O-157:H7による集団食中毒事例3件、O-118:H2による事例1件のデータを解析する。
Key words:腸管出血性大腸菌, O-157:H7,  最尤推定量, 信頼区分, プロファイル尤度