【管内情報】 新型インフルエンザ(A/H1N1)対応

平成21年4月24日にメキシコ・アメリカにて豚インフルエンザが流行しているとの情報が厚生労働省より大阪府に入り、本市にも入った。大阪府では、翌日より新型インフルエンザ相談電話を設置する予定であったことから、本市も4月26日(月)に新型インフルエンザ相談電話を設置した。4月29日にメキシコ便が関空に到着する予定であったため、同日発熱相談センターを設置し、土日祝を含む8時45分から17時15分までの対応とした。5月9日に府立高校の生徒と教員が停留措置を受けたことから、午後9時まで延長し、5月17日には、府内の高校で国内感染が確認されたため、5月18日より24時間体制とした。

その後、5月26日には午後9時までの対応に戻した。6月には、平日のみの対応としたが、患者の増加に伴い医療機関等からの問い合わせも増加した。7月15日より、一般の医療機関でも新型インフルエンザ患者の診察が可能となったことから、発熱相談センターは休止した。この間、発熱相談センターでは612件の相談を受け、受け切れなかった相談電話を保健所でも100件以上受けた。このことで、保健所の電話回線に余裕がなくなり関係機関等からの電話連絡が困難となったため、危機管理課の災害用携帯電話を借用したり、発信のみ可能な電話回線を確保するなどの体制整備を行った。

発熱外来については、既に平成20年度に管内の医療機関と調整をしていたため、海外で患者発生の情報があるや否や感染者の受け入れ要請を行った。流行国からの帰国者で症状が出た者について、発熱外来での受診調整を行ったが、患者発生は認めなかった。

5月17日に隣接地域の学校で集団感染事例が判明し、当該学校に通学している生徒や生徒と接触したと発熱相談センターに連絡のあった者のうち症状のある者を対象に保健所で検体を採取し、府立公衆衛生研究所でPCR検査を実施した。結果は、11名中10名が陽性となり、本市において、初めての新型インフルエンザ患者になることから報道提供を行った。

発熱相談センターでは、海外流行地域からの帰国者及び集団発生のあった学校の生徒で症状のある者との接触者を発熱外来へ紹介した。

患者数増加への対応として、医師会と調整のうえ、新型インフルエンザ患者との接触が濃厚ではないが、発熱のある患者の診療を担当する協力型発熱外来を市内の医療機関5か所に設置した。

元来の発熱外来については、重症者及び患者との濃厚接触者の外来を担当することになった。

一般の医療機関での診療が始まるまでの間、発熱外来では発熱相談センターから紹介された患者と直接外来に来た患者が混同し混乱することもあった。

さらに、11月から市民への新型インフルエンザワクチン接種が開始され、患者の診療とワクチン接種の予約対応とで、医療機関は混乱をきたした。

発熱相談センター休止後は、新型インフルエンザ相談電話窓口を設置したが、その後ワクチン接種に関する相談を開始し、苦情対応に追われた。

当時、国の行動計画等に基づき、府内全学校が休校となったため、1週間、高槻市内の幼・小・中・高・大及び保育園、高齢者施設等のサービスの休止を決定し、市の各種イベントもすべて中止とした。

1週間後、学校等が再開されるも、しばらくは患者発生がなく、感染拡大防止ができたと推測される。

その後は、海外流行地域での帰国者を中心に発熱外来での受診を行った。国際大会等での市内感染者も見られ、全国的にも患者発生が見られるようになると、他府県から戻った者などからの患者発生もあった。7月の夏休み前には小学校等の学級閉鎖が見られるようになったが、夏休みに入ると終息傾向なった。ただし、クラブ活動等での感染が拡大していった。8月末の夏休み明けより、学級閉鎖の基準が緩和されたことから、学校での学級閉鎖が拡大していった。

定点医療機関からのインフルエンザ患者の報告数は、5月4日の第9週は0であったが、翌週には少し上昇し、11週、12週が0.417と小さいピークを示し、25週(6月15日の週)には再び0となった。30週(7月20日の週)には0.462となり、上昇を始め、46週(11月9日の週)で26.692とピークを迎えた。その後は減少を続け53週には4.25となった。

平成22年に入り、5週(2月1日の週)までは、4から6の間で推移していたが、6週(2月8日の週)に入り減少し、10週(3月8日の週)でようやく0となった。

患者の全数報告期間中(平成21年5月16日~7月22日)では、38名の患者発生が認められた。その後、サーベイランス体制が、個別の患者把握から集団の患者把握へと推移し、同一集団から2名の患者確定、その後に1名の患者確定で集団発生とした。なお、インフルエンザA型と診断された患者の殆どが新型インフルエンザであったため、A型と診断された時点で新型インフルエンザとみなし、PCR検査は重症者、死亡者を対象に実施した。

集団発生の把握のため、医療機関にA型陽性患者数の報告を求め、7月24日から9月9日にかけて医療機関より458件の報告があった。報告の年齢別内訳は、10歳代が52%、20歳代が17%、10歳未満が17%の順に多かった。

平成21年7月24日から平成22年3月30日まで実施された入院患者サーベイランスによる報告数は220件で、5~9歳がもっとも多く83件(37.7%)、ついで5歳未満が68件(30.9%)、10~14歳が31件(14.1%)の順であった。

死亡事例については3例で、うち本市民は1例であり、間質性肺炎の基礎疾患を有する者であった。

平成22年3月末に、国は新型インフルエンザが季節性インフルエンザに移行したことを宣言し、全国的にも終息した。

公開日:2014年01月17日

カテゴリー: 感染症