No.933 東京・地下鉄サリン事件

[ 詳細報告 ]
分野名:その他
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:東京都立衛生研究所
発生地域:東京都内の営団地下鉄,霞が関駅に近づく五本の電車のなかに、同時多発的にかなりの量のサリンがまかれた。
事例発生日:1995年3月20日午前8時すぎ
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:推定患者数:約5,500名が治療を受けた.
死亡者数:12名
原因物質:毒ガス「サリン」(C4H10FO2P、分子量140)メチルホスホノフルオリド酸イソプロピル
キーワード:サリン、毒ガス、無差別テロ、メチルホスホノフルオリド酸イソプロピル

背景:
1990年2月、A容疑者ら幹部25人が総選挙に立候補したが、全員が落選した。これが当該教団を攻撃的に変質させたと思われる。同4月、信徒約1,000人を連れて石垣島へ予言ツアーに出かけ、その後、熊本県波野村では村民との対立が深まった。
A容疑者は92年9月にハルマゲドン(最終戦争)を「予言」、11月には「都内の人口は十分の一ぐらいに激減する。使われるのは原爆、生物兵器、化学兵器のいずれか」と述べた。
サリン製造の謀議は、そのころに始まったとみられる。A容疑者のほか、刺殺された教団「科学技術省」トップのB氏と、「建設省」トップのC容疑者らが加わったとされる。
93年春、山梨県上九一色村で、「第三上九・第七サティアン」の建設が始まった。

概要:
1995年3月20日朝、東京の都心は悪夢のような無差別テロに見舞われた。午前8時すぎ、営団地下鉄、霞が関駅に近づく5本の電車のなかで、毒ガス「サリン」が広がり、通勤客や駅職員を襲った。死者12人、重軽症者約5,500人。東京・地下鉄サリン事件は、警視庁築地・大崎署特捜本部の調べで、O宗教団体が組織的に関与したことが明らかになった。代表のA容疑者ら41人の信徒に殺人未遂容疑で逮捕状が出た。

原因究明:
毒ガスはガスクロマトグラフィー質量分析法により定性、半定量分析できる。

診断:

地研の対応:
事故現場周辺の住民の安全性を確保する必要があった。

行政の対応:

地研間の連携:
長野県衛生公害研究所の示した「松本サリン事件」の資料がある。

国及び国研等との連携:
平成7年4月に環境庁による「サリン等の分析マニュアル」を報告した。

事例の教訓・反省:
毒ガスの標準品がないため分析が困難である。高純度品は危険なので、標準品の低濃度溶液が入手出来れば、分析結果の報告等が迅速に行えると思える。
一方、マススペクトルはWiley/NBS等の標準マススペクトルをすみやかに得られた。

現在の状況:
上記の分析方法で、非常時の緊急事故に備えに、対応が可能である。

今後の課題:
1) 毒ガスの低濃度標準品がない。
2) 平成七年四月二十一日付け法律第七八号「サリン等による人身被害の防止に関する法律」により、サリン等による人の生命及び身体の被害の防止並びに公共の安全の確保を図られるので、平成6年6月27日松本市における有毒ガス事件、平成7年3月20日東京・地下鉄サリン事件などの様な激甚化学災害はないものと考えられる。

問題点:

関連資料: