No.1586 事業所の夏祭り会場で提供された食品を原因とした食中毒事例

[ 詳細報告 ]
分野名:細菌性食中毒
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:山梨県衛生環境研究所
発生地域:山梨県
事例発生日:2012年7月20日
事例終息日:
発生規模:984名
患者被害報告数:253名
死亡者数:0名
原因物質:ウエルシュ菌
キーワード:食中毒、夏祭り、ウエルシュ菌

背景:

概要:
平成24年7月20日に会社主催の夏祭りに参加した社員とその家族約1,000人のうち165名が下痢・嘔吐症状を呈しているとの連絡があり管轄保健所が調査を開始した。発症者の9割が夏祭り会場で提供された「キーマカレー」を喫食していたこと、発症者の便からウエルシュ菌が検出されたこと、発症者の症状及び潜伏期間がウエルシュ菌の特徴と一致していること、発症者を診察した医師から食中毒患者届出票の提出がなされたことから夏祭り会場で提供された「キーマカレー」が原因食品と推定される食中毒と断定し、病因物質はウエルシュ菌と特定した。

原因究明:
発症者に共通する食事は夏祭りで提供された食事に限られること、発症者の潜伏期間は数時間から1日であり、主症状は下痢、腹痛と発症状況が類似していること、複数の発症者の検便からウエルシュ菌が検出されていることから、夏祭りで提供された食事が原因食品と考えられた。
夏祭り参加者の喫食状況を調査したところ、発症者の9割が「キーマカレー&ナン」を喫食しており、オッズ比は24.181(95%信頼区間15.601,37.480)と1を大きく上回る結果となった。
喫食調査のメニューが「キーマカレー&ナン」となっていたことから、それぞれの調理工程など、食品の取り扱い状況を確認した。キーマカレーは夏祭りの前日に県外の業者が調理、冷蔵保管し、当日会場に搬送されていた。夏祭り会場では長時間常温で保管されていた。ナンについては、会場で既成品をオーブンで加熱(300℃、2分)していたことから原因食品の可能性は少ないと考えられた。
以上のことから「キーマカレー」を原因食品と推定した。

診断:

地研の対応:
発症者68名の便の検査をしたところ44名からエンテロトキシン(+)ウエルシュ菌が検出され、いずれも血清型はHobbs型別不能であった。分離が容易であった34株についてパルスフィールドゲル電気泳動解析を行ったところ、A~Gの7パターンが確認され、Aが26株、D・Fが2株、B・C・E・Gが1株であった。
会場に臨時で設営された井戸水の細菌検査は陰性であった。

行政の対応:
夏祭り開催業者に、夏祭り開催時における事前の相談書の提出や食品取扱時の注意指導を行った。

地研間の連携:

国及び国研等との連携:

事例の教訓・反省:

現在の状況:

今後の課題:

問題点:

関連資料: