RNテロ災害医療対応(テロ現場対応者向け)

ここでは放射線災害の対応について紹介します。

フロー図内の各項目をタップすると、具体的な対応情報を表示します。

表9 臨床症状、検査所見と被ばく線量

1. 受入要請

1.1 受信
現場において、放射線が検知された場合、または放射線による被ばくあるいは放射性物質による汚染の可能性が示唆された場合に、その傷病者の受入要請がなされたら、放射線テロ災害対応体制を立ち上げる。
1.2 確認する情報
現場で放射線が検知され場合には、通常の受入時に確認する項目(バイタルサインや身体所見等)の他に、表1の情報を確認する。空間線量計で放射線を検知しない場合でも、放射性物質の拡散による汚染の可能性があり、爆発物が関与している場合は、Dirty bombの可能性を考慮する。
表1 確認する情報

   
確認項目
傷病者 体表面汚染の有無
汚染の部位、程度
脱衣の有無
嘔吐の有無、発症時刻
現場状況 現場での放射線検知結果
現場における内部被ばくの可能性
現場における外部被ばくの可能性
核種(現場での核種同定ができる場合)

表9 臨床症状、検査所見と被ばく線量 ページ上部に戻る

             
急性放射線症の重症度と被ばく線量
軽症(1~2Gy) 中等度(2~4Gy) 重症(4~6Gy) 極めて重症(6~8Gy) 致死的(>8Gy)
血液細胞 リンパ球数
(x103/mm3)
(被ばく後3-6日)
0.8 ~ 1.5 0.5 ~ 0.8 0.3 ~0.5 0.1 ~ 0.3 0.0 ~ 0.1
顆粒球数
(x103/mm3)
>2.0 1.5 ~ 2.0 1.0 ~ 1.5 ≦0.5 ≦0.1
血小板数
(x103/mm3)
60 ~ 100
10 ~ 25 %
30 ~ 60
25 ~ 40 %
25 ~ 35
40 ~ 80 %
15 ~ 25
60 ~ 80%
80 ~ 100 %※
潜伏期 長さ(日) 21 ~ 35 18 ~ 28 8 ~ 18 ≦7 なし
臨床症状 下痢 なし なし 被ばく後
6〜9日に出現
被ばく後
4〜5日に出現
脱毛 なし 中等度、被ばく後15日以降 中等度ないし完全
11〜21日
完全
11日以降
完全
10日以前
その他の症状 倦怠感
衰弱
発熱、感染、出血、衰弱 高熱、感染、出血 高熱、嘔吐、めまい、
見当識障害、血圧低下
高熱、
意識障害
予後 致死率
死亡時期※2
0 0 ~ 50 %
6~8週以降
20 ~70 %
4~8週以降
50 ~ 100 %
1~2週以降
100%
~2週

※1 50Gyを越すような高線量被ばくの場合は、血球減少の前に死亡する。
※2 治療内容により死亡率、死亡時期は変化する。