■特 徴


■う蝕予防効果


■実施方法


■普及状況







フッ化物洗口の実際

1.フッ化物洗口の実際
(1)前準備:真水によるブクブクうがいと吐き出しの練習を行い,30秒〜1分間のうがいができるようになったら,フッ化物溶液に切り替えます。
(2)フッ化物洗口の手順
(1)1回分の洗口液を小コップに注ぎます。市販のフッ化物洗口剤には,指定の溶解ビンに目盛り付の小コップがついています。
(2)洗口液を口に含み1分間,全歯面に洗口液が行き渡るようにブクブクうがいを行います。
(3)1分が経過したら,小コップの中に,あるいは直接洗面台の流しに洗口液を吐き出します。
(4)歯面にはフッ化物イオンが作用しているので,洗口後30分間は飲食,うがいを避ける。
洗口後30分間飲食やうがいを控えるために
・家庭では,就寝前の歯磨き終了後が適切です。
・保育園では午睡の前に,幼稚園や小中学校では授業の直前に実施するなど,工夫がなされています。
2.年齢,洗口液の量と洗口時間
  就学前児   5〜7ml  30秒 〜1分間
 小学生以上  10 ml 1分間
3.洗口回数*と洗口液のフッ化物濃度
週5回法(毎日法) 0.05%フッ化ナトリウム
(フッ化物イオン濃度;225 ppm)
週1回法     0.2 %フッ化ナトリウム 
(フッ化物イオン濃度;900 ppm)
週2〜3回法    0.1 %フッ化ナトリウム
(フッ化物イオン濃度;450 ppm)
*:家庭で行う場合や幼稚園・保育園で実施する場合には毎日法が薦められます。また,小中学校では週1回法を採用しているところが多いようです。このように,集団応用の場合は,実施施設の状況に適した回数を選んで実施します。

4.家庭応用方式
 市販されているフッ化物洗口剤を用いて,毎日1回実施します。

 フッ化物製剤としてミラノール(R)とオラブリス(R)があります。いずれもフッ化ナトリウム(NaF)を主成分とする顆粒剤で,分包された製剤と指定の溶解ビンがセットで販売され,歯科医院や薬局で購入できます。(1)ミラノール(ビーブランド・メデイコ・デンタルKK)(写真):1包1g(NaF 110mgを含む)と1.8g(NaF 198mgを含む)の2種類がある。どちらも指定の溶解ビンで200mlの水に溶かして洗口液を作る。フッ化物イオン濃度は,250ppmと450ppmになります。
(2)オラブリス(昭和薬品化工KK)(写真):1包1.5g(NaF 165mgを含む)で,指定の溶解ビンで300mlの水に溶かすと,フッ化物イオン濃度は250ppm,167mlの水に溶かすと450ppmになります。
 家庭で実施する場合の次の点に注意が必要です。
(1)ミラノール,オラブリスの顆粒剤は,劇薬扱いになっており,取り扱いに注意が必要です。子どもの手が届かないところにきちんと保管します。なお,顆粒剤を水に溶かした洗口液は劇薬扱いからはずれます。
(2)1包を水に溶かす洗口液の調製は大人が行い,洗口液は冷暗所(冷蔵庫)に保管します。1回に調製する洗口液の量や使用量によって異なりますが,多くは約3 週間から1カ月保管することになります。
(3)1回分の洗口液は,大人が小コップに適量(5〜10ml)を注ぎます。
(4)1回分の洗口液を誤って飲み込んだとしても,それが低年齢児の場合でも急性中毒の心配はありません。(5)歯は順々に生えてくるので,4〜15歳くらいまで長期間の実施が必要です。
 家庭でフッ化物洗口を長期に継続することは,かなり難しい問題です。本人や保護者に対するモチベーションが丁寧に行われる必要があります。

5.集団応用方式
 園や学校など施設単位で行うフッ化物洗口は,決められた時間に,担任教師の監督のもとでクラス全員で行うので,長期間の継続を確実にできる利点があります。
 使用する洗口液は,上記のフッ化物製剤を用いる場合と歯科医師の指示によりフッ化ナトリウムの試薬(1級あるいは特級)を秤量して用いる場合があります。大規模な集団で実施する場合には,安価なため後者が利用されています。秤量には歯科医師免許,薬剤師免許が必要です。



 6歳未満児のフッ化物洗口
 世界保健機関(WHO)は,1日の総フッ化物摂取量が過剰になることをおそれ,6歳未満児にはフッ化物洗口を用いるべきではないとしています。これに対し,日本口腔衛生学会は,わが国のフッ化物応用の現状(全身応用が普及していない)および事前に洗口動作を確認し実施されていることを踏まえ,フッ化物洗口の普及を推奨するという見解を出しました。因みに保育園児の洗口後の口腔内残留率は約10%であり,毎日法の場合約0.2mgのフッ化物が口腔内に残留します。この量は,フッ化物錠剤の投与基準量の0.5mg/日(3〜6歳児)の半分以下で,お茶をコップ1〜1.5杯飲んだときに摂取する量に相当します。





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