■フッ素とフッ化物

■自然環境物質としてのフッ化物

■人体にとっての有益性

■国内外の専門団体が推奨するフッ化物応用


■長期間、多地域での応用による実績がある







1. フッ素とフッ化物

 フッ素(F)は天然に存在する元素のひとつで原子番号9,分子量19です。周期律表のなかでハロゲン族に分類され,塩素(Cl),臭素(Br),ヨウ素(I)などが仲間の元素です。フッ素はたいへん反応性が強い元素で,自然界では単一の元素として存在することはありません。
 フッ素元素の陰イオンの状態にあるものをフッ化物イオン,またはフッ化物といいます。厳密にはフッ化物イオンを含む化合物をフッ化物といいます。フッ素はすべての元素の中で最も陰性度が高く,フッ化物イオンとなって他の元素と結合しています。自然の状態では,多くはカルシウムやアルミニウムと結合して安定した状態(岩石)になっています。 う蝕予防に用いられるフッ化ナトリウム(NaF)もフッ化物です。水の中で薄い濃度で溶けている状態ではフッ化物イオンとして存在しています。
 自動車の車体表面処理やこげつかないフライパン処理として知られるフッ素樹脂加工(テフロン8加工)とは,フッ素と炭素を結合させた化合物のポリテトラフルオロエチレンを貼りつける処理です。フッ素樹脂の場合,フッ素が陰イオンの状態になることはなく,フッ素化合物として分類され,う蝕予防のフッ化物と全く異なるものです。

注】「フッ素」と「フッ化物」について

 フッ化物は従来「フッ素(fluorine)」といわれてきました。しかし、現在では、国際純正・応用化学連盟(IUPAC)の勧告(1970年、1990年)により、「フッ素」は元素名であると定義されています。さらに、水や食品中の無機のフッ素は「フッ化物(fluoride)」と定義されています。
 う蝕予防で作用するのはフッ化物イオンですから、「フッ素」というよりも「フッ化物」と呼ぶのが適切です。本テキストにおいても、「フッ化物」という呼び方で統一します。「フッ素」という場合は、元素としてのフッ素を指します。
 ちなみに、水道水フッ化物添加の英語名は“Water Fluoridation”といい、Water Fluorinationとはいいません。








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