国立保健医療科学院HOMEへ > 研究部・センター > 生活環境研究部 > 衛生環境管理研究領域 > 放射線関連 > 平成26年度特別研究

原子力災害からの回復期における住民の健康を支える
保健医療福祉関係職種への継続的な支援に関する研究班

傷ついた関係の修復を図るために
ー不信の連鎖をみんなで解くー

目次

研究報告書

現場で活用できるツールの開発

(放射線便利帳や学習用ウエッブサイトはこちらから)

メンバー(当時)

研究の紹介

背景

○ 放射線リスクコミュニケーションは政府全体で取り組むこととされ、平成24年3月に「原子力被災者等の健康不安対策に関するアクションフラン」が策定されました。保健医療福祉に関連する事項としては、「統一的な基礎資料をもとに作成した保健医療福祉関係者のための研修教材を用いて、中長期的に研修が行われるよう必要な支援を行う」とされ、平成25年3月に環境省が統一的資料を作成したことに併せて、「放射線リスクのみならず二次的な健康リスクにも考慮する必要」が示されました。

○ 事故後4年目を迎えて、①被災地の住民(帰還する住民含む)も対象にした地域性、個別性の違いの課題 ②被災地とそれ以外の地域との温度差の課題の2つに大別される課題が顕在化してきました。

方法、狙い

○ 災害後の回復期の保健医療福祉活動は、被災地域住民の生命と健康を守り、二次的な健康課題を予防し、地域の復興をめざす中長期にわたる活動となります。原子力災害後の対応では、従来の地域保健医療福祉従事関係機関の枠を越えた多様な専門職(機関)との連携や協働支援が必要となります。課題が複雑であるが故に、専門家と地域との関係性の構築(架け橋)が不可欠となります。地域住民の暮らしや価値観、事故による影響とその後の変化などを多角的に、かつ絶え間なく、住民に身近な立場で把握し、日頃から信頼関係を構築している地域の人材と外部の専門家との協働活動が重要です。特に外部の専門家は地域の負担に意識的である必要があります。

○ 具体的には、福島県と共に保育士対象の研修事業を関係学会とも協働して実施してきたことを踏まえて①平成26年度に事業化された相談員を保健医療福祉関係者が担う、もしくは協力する際の、関係者のあり方や関係者への支援のあり方・具体的なツール ②保健医療福祉職の職域や地域の課題に応じた支援のあり方をまとめたマニュアル等原案 をとりまとめ、その活動モデルを提示することを目指して研究が実施されました。

研究の要旨

原子力災害からの回復期における地域での保健福祉活動を持続的なものとするために、その課題を整理し、その課題を解決することを目指した研修等実践活動を展開し、地域活動を支援するために、現場でのコミュニケーションの課題を扱った資料を作成し、その活動モデルを提示を試みました。現場では多大な努力により多くの取り組みがなされており、負担を軽減するための枠組み作りが求められます。

災害後の回復期の保健医療福祉活動は、被災地域住民の生命と健康を守り、二次的な健康課題を予防し、地域の復興をめざす中長期にわたる活動となります。原子力災害後の対応では、従来の地域保健医療福祉従事関係機関の枠を越えた多様な専門職(機関)との連携や協働支援が必要となります。課題が複雑であるが故に、専門家と地域との関係性の構築(架け橋)が不可欠となります。地域住民の暮らしや価値観、事故による影響とその後の変化などを多角的に、かつ絶え間なく、住民に身近な立場で把握し、日頃から信頼関係を構築している地域の人材と外部の専門家との協働活動が重要だと考えられます。特に外部の専門家は地域の負担に意識的である必要があります。

現場での課題は、放射線そのものの知識や放射線リスクの知識だけでは解決できる単純なものではなく、「リスク認知」の社会的・規範的次元を超えた、倫理的・法的・社会的問題(ELSI)への対応が保健福祉分野でも迫られ、それが心理的な負担につながる構造にもあります。このため、ELSIなど科学技術の社会的・規範的問題に取り組む人文・社会科学の専門性も必要となりますが、現場のニーズに基づく課題を設定して、現場のニーズを解決するために検討を進めるためには、倫理的な側面を重視すると共に異なる専門領域間でのコミュニケーションを促進させることが重要になると考えられます。





研究報告書

目次

目次(PDF, 55kB)PDF

総括研究報告

総括報告書(PDF, 313kB)PDF

分担研究報告

福島県での保育士研修等の評価

福島県での保育士研修等の評価(PDF, 589kB)PDF

放射性物質に関するツール「カルテット」の利用可能性の検討

放射性物質に関するツール「カルテット」の利用可能性の検討(PDF, 153kB)PDF

関連資料

平成26 年度ふくしま保育元気アップ緊急支援事業相談支援者育成研修フォローアップ研修会概要

平成26 年度ふくしま保育元気アップ緊急支援事業相談支援者育成研修フォローアップ研修会概要(PDF, 234kB)PDF

平成26 年度ふくしま保育元気アップ緊急支援事業相談支援者育成研修フォローアップ研修会に関する評価

平成26 年度ふくしま保育元気アップ緊急支援事業相談支援者育成研修フォローアップ研修会に関する評価(PDF, 254kB)PDF

成果物の有効性に関する評価

成果物の有効性に関する評価(PDF, 196kB)PDF

福島県伊達市における原子力災害からの回復期の地域保健活動取り組み

福島県伊達市における原子力災害からの回復期の地域保健活動取り組み(PDF, 08kB)PDF

PhotoVoice 手法の有効性に関する評価

PhotoVoice 手法の有効性に関する評価(PDF, 3.9MB)PDF

放射線便利帳・ステップアップ編

放射線便利帳・ステップアップ編

放射線カルテット(大人用パンフ)編

こちらをご覧ください。





現場で活用できるツールの開発

放射線対策に関連した業務やその業務遂行の負担を減らすためには、原子力災害がもたらした様々な難しい問題により影響を受けた人々の気持ちに配慮するとともに、日常の保健医療福祉活動を圧迫せずに実施する必要があります。このため、学習の負担感を減らし、関連業務への従事における負担感の軽減を目指し、ツールの開発を継続しています。

カードゲーム活用

これまでの研究から、コミュニケーションを円滑にすすめつつ、情報収集(知識習得)可能な教材として、カードゲームを開発しました。地域でのリスクコミュニケーションや学校での利用について実践し、質的及び量的に評価を実施しました。大人を対象とした利用において、情報の収集がなされ、コミュニケーションを円滑に進めるために役立つことが示唆されました。また、児童を対象とした利用においては、楽しく学ぶことができることが示唆されました。このように開発したカードゲームはコミュニケーション及び教育現場での有効な利用可能性が示唆されました。


quartettquartett

大人用 子供用

遊び方

YouTubeで動画で示されています

詳しくは、こちらをご覧ください。

大人用

quartettquartett

小学生用

quartettquartett


福島県教育庁義務教育課作成の資料でご紹介いただきました。

平成26年度 放射線教育推進支援事業『放射線等に関する指導資料 第4版』

  • 放射線等に関する基礎知識『Ⅱ「放射線のカルテット」の授業を通して』
  • 参考資料 「カルテット」ゲームの紹介
  • カードゲームを使用した放射線教育の実践


放射線便利帳

 保健福祉現場での関連業務を支援するために現場の意見に基づき、場面別に使える資料を作成しています。この資料は、保健師等の住民への対応者を対象とした集合形式や遠隔形式での研修ツールキットや保健センター等でのマニュアル等として現場で実践的に活用されることを目指しています。

放射線便利帳

放射線便利帳(日常業務で使える手引き(Ver.5)、平成27年3発行)を作成しました
研修に参加下さった、保育士の方からのご質問やご意見に基づき、日頃の生活での放射線への疑問や原子力災害がもたらした難問への対応のあり方を取り上げています。
保健師・保育士向けとしていますが、題材は日常の保育所としていますので、一般の方もお読みいただけると思います。







放射線便利帳・ステップアップ編

ステップアップ編のテキストを作成しました。
保健福祉職員のための放射線便利帳(ステップアップ編)Ver.1(2015年3月)
研修に参加いただいた保育士の方々から提示された課題を考えています。
 放射線便利帳・ステップアップ編の一括ダウンロード














学習サイト

現場での問題に取り組むための基礎的な知識を確認する学習サイト(試行版)をさらに充実するよう取り組んでいます。このサイトは、福島県での研修などで参加された方々からいただいたご質問に基づいて作成しています。ご質問をお寄せいただけますと幸いです。




メンバー

研究代表者

 山口 一郎 / 国立保健医療科学院 生活環境研究部

分担研究者

 欅田尚樹 / 国立保健医療科学院 生活環境研究部
 志村勉 / 国立保健医療科学院 生活環境研究部
 奥田博子 / 国立保健医療科学院 健康危機管理研究部
 寺田宙 / 国立保健医療科学院 生活環境研究部
 堀口逸子 / 長崎大学東京事務所(広報戦略本部)

研究協力者

 王子野 麻代 / 日医総研
 後藤あや / 福島県立医大 公衆衛生学講座
 松田尚樹 / 長崎大学 先導生命科学研究支援センター
 川崎千恵 / 国立保健医療科学院 生涯健康研究部
 岡田光彦 / 国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部
 大夛賀政昭 / 国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部


福島の風景

写真の著作者:村田信一

Copyright (c) National Institute of Public Health. All Rights Reserved.


連絡先

電子メールでのご連絡をお願いします。
ndsupport@niph.go.jp
ご質問の内容によっては、数日以上のお時間をいただく場合や回答できない場合があります。
また、申し訳ありませんが、回答の時間指定はお受けできません。